ついに!私に、オレゴン・ピノ・キャンプに参加するチャンスが到来しました。「キャンプ?」と、私の友人は、信じられないという顔つきで振り返って、私のことをじっと見つめました。そして彼が言った、「仕事でオレゴンに行って、ワインを4日間も飲むのかい?」という言葉に、私は、、、最初、どう答えてよいのかわかりませんでしたが、、、「はい。その通りです!」と答えざる得ませんでした。
毎年、50ものワイナリーや、ワイン会社が一緒に、250人のワインのプロや、業界の支援者達を招待して、オレゴンのワインの国を探索するのです。この30年間で、オレゴンのピノ・ノアールは、全世界のワイン業界のプロから、認知され、賞賛され、無名の地位から、世界的な「セレブ」の地位にのしあがってきました。ブルゴーニュだけをワインセラーにストックしていたワインの愛好家達も、今や、ウイリアメット・ヴァレー (Willamette Valley)、ダンディー・ヒルズ (Dundee Hills)や、 ヤムヒル・カウンティ(Yamhill County) でワイン用に葡萄が栽培され、生産されたピノ・ノアールを、ストックし始めています。
オレゴン・ピノ・キャンプ
私と他の大勢のワインのプロ達が6つのワークショップに参加しました。オレゴンでのワイン醸造の歴史や、オレゴン・ワインのヴィンテージ物や、ワイン・スタイルについてを学びました。オレゴンの白ワインを試飲したり、語り合ったり、ワインメーカーにヴィンヤード(vinyard:葡萄畑/ワイン醸造所)に連れて行ってもらいテロワール(terroir.地域の土壌や地形) について話し合ったりしました。ご存知でしたか?これは、汚い土をこねくり回しているだけではありません。(おっと、私の粗野で下品な言葉 (aux pas) をお詫びします。土壌の見本と申し上げるべきでしたでしょうか?) もし、堆積土と、火山土の違いを理解したいのであれば。
ショーの始まり?ピノ・ノアールは、ビァン・スール(bien sûr:もちろん)、今まで最も力を入れてきたワインメーカーでさえも、気の遠くなるような時間をかけて、悩み、翻弄され、根気良く、几帳面に取り組んできた葡萄種です。私達が、ピノと呼んでいる、シルクの様にエレガントで素晴らしいワインを造りだすために、ワインの生産者達は、葡萄の朽ちやすさと脆さとの勝負に、人生を賭けているのです。徹夜で、畑の区画を歩き回って、テイスティングして、試し噛みして、吐き出しては、何度も何度もテイスティングすることで、ようやく葡萄は、熟成し、収穫するベストのタイミングがやってきたことを、世話をしてくれた人間に、「囁いて」くれるのです。
ピノのワイン・テイスティングは、高品質の葡萄が沢山実って、多くのワインメーカーを喜ばせた2006年物のヴィンテージに的を絞りました。ピノ系の品種の特徴を生かしたワインを造り出すのに、オレゴンのワインメーカーは、大変な苦労をしたに違いありません。ワイン・テイスティングでのワインは、まだとても若かったのですが、もう既に明るく、フレッシュで、レッド・ベリー系が熟したダーク・ブラックベリーと、プラムの幅広いアロマとフレーバーを醸しだしていたからです。多種多様なオーク樽を使っていることが、ありありと判りますし、エレガントで[ドメーヌ・ドローアン (Domain Drouhin)のワインメーカー達がピノに表現している]、とても微妙な部分から、[パンサー・クリーク(Panther Creek)やウイットネス・ツリー (Witness Tree)の葡萄畑など]よりフル・ボディに近く、セダーや、バニラとタバコが表現されているスパイシーなバージョンまでが網羅されています。
オレゴン・ピノには、このグループの共通点として、口の中を爽快にさせる酸味と、力強いタンニン、フルーツの複雑さと、余韻の長い後味、つまり、品質と納得への重要な要素が全てあるのです。
ピノ・グリ (Pinot Gris) もフィーチャーされましたが、この葡萄こそが、全ての白ワインの中の最高峰の座を守っていました。私達が試飲したピノ・グリ・ワインは、クリスピーな美味しさで、クリーンで、爽快でした。さぞ食事が進む味でしょう。ああ、私は炙り焼きのホタテとアスパラガスへの切望に駆られてしまいましたが、話が逸れてしまいます。
オレゴンのワインメーカー達は、クリエイティブで、シャルドネの様な、他の系統の品種についても色々と実験をしてきています。はっとさせられる素晴らしい例は、ソター/アルギレス(Soter/Argyles)のスパーリング・ワイン、ブラン・ド・ブラン (blanc de blancs) です。.また、ポンジワイナリー (Ponziwinery) は、素敵なアルネイス (Arneis)を造っていますし、他の方々は、リースリング (Riesling) や、ゲヴュルツトラミナー (Gewürztraminer) のように、もっとアロマの系統で色々と試したりしています。
オレゴンのワイン畑の上を、熱気球に乗って(マ・ウィ!– mais oui! : まあ驚き!)、フワフワと浮かんでいると、ある朝、私はオレゴンのワインメーカーのことで気づいたことがあります。彼らは、インスピレーションの上では、元来、ブルゴーニュを参考にしているのですが、本当は、自分達独自のスタイルと、テロワール(terroir.) のユニークな表現方法を見つけ出すことを目標にしているのです。この分野では、成功していることも確かです。実際、フランス人たちを魅了始めているのですから。フランス人によって所有されたウィルケンジー (Willakenzie)・ワイナリーは、とても愉快な気持ちで、ピノ・ロアール (Pinot Noir)、ピノ・メニュエ (Pinot Meunier) とガメイ・ノアール (Gamay Noir) のユニークなプラスール・ア・トロア (Plaisir à Trois) を造りました。
オレゴンのワインの国は、なるほど賞賛に値します。特にピノに凝っている方々には、これからの動きをウォッチしておいた方が良さそうな地域です。
乾杯~!